Road To BaBaBa ~BaBaBa誕生までの裏側~

Category

【Road to BaBaBa Vol.1】

数々の運命的な出会いと奇跡が重なって、2021年4月BaBaBaは誕生します。
BaBaBaのコンセプトの1つが「裏側を見る」
ここでは誕生までの裏側を数回にわたりご紹介したいと思います。

当時浜松町にあったアンダーデザイン東京オフィス、社員が増え手狭になったことから移転を計画していました。本格的な物件探しが始まったのは2019年1月。オフィス兼ギャラリーという漠然としたイメージで探し始めていました。
大阪オフィスのインテリアデザインを担当いただいたStudio Eary Birdsさまにご相談し、スキーマ建築計画の長坂常さまをご紹介いただいたのが2019年3月。不動産の仲介会社TRANSISTORさまにも加わっていただき、物件探しを進めました。
当初は2か月~3か月もあれば決まるだろうと思っていた物件ですが、見に行っては条件に合わず、見に行ってはタイミングが合わず…といった状態が続き、探し始めてからあっという間に半年が経過しました。

高田馬場の印刷工場(現BaBaBa)を初めて見学をした印象は、印刷工場の緑の床や、ペンキが飛んだシミさえもカッコよく、業務で重要な荷物の出し入れ用のダムウェーター(昇降機)もあり、開口部をあけるとおとめ山公園が見え、条件や環境が理想的でした。
おとめ山公園は都心とは思えないほど自然にあふれ空気が澄んでいて、地域の皆様に愛されている美しい場所が近くにあることも魅力を感じました。
TRANSISTORさま曰く「普通は諦めてしまうところを、粘り強く探したのがよかった」とのこと。時間をかけて理想を追い求めたことがよい結果につながりました。

そして、ここからヴェネチアビエンナーレ(VBA)日本館展示チームとのご縁がつながることになり…

Road to bababa1

【Road to BaBaBa Vol.2】

2019年夏、高田馬場の元印刷工場に出会い、アンダーデザイン新東京オフィス・フリースぺース(現BaBaBa)計画としてスキーマ建築計画さまに設計をお願いしました。

この頃、長坂常さまより当時2020年に開幕予定だったヴェネチアビエンナーレ(VBA)日本館展示チームに参画していること、解体した民家をイタリアに送り展示すること、そのため解体後の資材の一時保管場所が必要なことをお聞きし、施工に入る前だった東京オフィス・現BaBaBaを一時的にお貸しすることになりました。

主催の国際交流基金さまにお会いさせていただいた際、VBA2020は複数の建築家、デザイナーや施工担当の皆様がチームとなり日本を代表して参加するとお聞きしました。この時は資材保管場所としてではありましたが、少しでも当社が協力できることを光栄に感じました。

2019年9月、解体後の資材が続々と運び込まれVBAチームが東京オフィス・現BaBaBaスペースに入れ替わり立ち代わり来られて準備を進められました。

2か月ほどたった2019年11月ごろVBAチームの準備が終わり、資材はイタリアに旅立って…

BaBaBa2

【Road to BaBaBa Vol.3】

新東京オフィスとなる場所で保管されていたヴェネチアビエンナーレ(VBA)資材も2019年11月ごろにはイタリアに発送されました。
2020年、年が明けるといよいよアンダーデザイン新東京オフィス(2F・3F)の本格的な設計・施工が始まります。

当社がスキーマ建築計画さまにお願いしたかった理由は、時代が変わり役目を終えた古い建造物を、美しく機能的に再構築し、再び息を吹き込み蘇らせていただけること。そのため、物件を探す際も「元○○工場」ばかりを探していました。
新東京オフィスは元印刷工場。床面は工場特有の緑色でペンキもそこかしこに飛び散っています。その工場を、エポキシ樹脂のグリーンストライプのテーブルや、叢さまの巨大な植栽を置くことで、より素敵な空間に仕上げていただきました。
もちろん機能的にも、アンダーデザインが得意とする通信を使って大型ディスプレイで東京と大阪オフィスを常時接続するシステムを取り入れ、固定席を持たないフリーアドレスオフィス、Phoneブース、キッティングスペース、大小の会議室など当社のオフィスに必要な機能を満たしデザインしていただき、施工は株式会社TANKさまに行っていただきました。

そして、物件を探し始めてから1年2か月たった、2020年3月後半。いよいよ高田馬場にオフィス移転を完了しました!
この頃、世の中が徐々にコロナ禍の打撃を深刻に受け始めていました。ほどなく出張がままならない時期に突入したものの、東京と大阪オフィスに常時接続のディスプレイがあることで、各々のオフィスを身近に感じることができました。

いかにリアルに遠隔の場所と人を通信でつなげるか、その重要性をより感じることになります。
東京オフィスの移転を無事に終え、いよいよBaBaBaプロジェクトが本格スタートすると思いきや…

p>

【Road to BaBaBa Vol.4】

2020年3月後半、アンダーデザイン東京オフィスは高田馬場に無事に移転を完了しました。
計画ではまずは2F・3Fのオフィス部分の施工を進め、その間に1Fフリースペース(BaBaBa)のコンセプトを決定する予定でした。
しかし、世の中全体がそうであったように当社もコロナ禍に直面し、計画自体の見直しを迫られます。
「ステイホーム」と言われていた緊急事態宣言の時期に、どういう場所作りをするべきか。持ちうる知恵を絞り、様々な方と話すものの、スペース設計に必要なコンセプト決定は混迷を極めていました。

ただ春から夏にかけて、これまでせわしなく動いていたものが一旦スローダウンしたことにより腰を据えて考える時間がとれたことは良かった点でもありました。

この時期、ヴェネチアビエンナーレ(VBA)日本館展示を主催する国際交流基金さまからも2度の延期の知らせを受けていました。

皆が不透明な出来事に翻弄されてつつも、今できることを進めていく。模索の時期だったように思います。
しかし、コロナは想像以上に長期化しそうで…

BaBaB4

【Road to BaBaBa Vol.5】

2020年夏、コロナ禍の影響が長期化する見通しとなり「withコロナ」という言葉とともに、BaBaBaもギャラリーとして人が集う場所だけでなく、通信でつながることができるスタジオはどうかという案が浮上しました。

アンダーデザイン東京と大阪オフィスの常時接続ディスプレイは、「オンライン会議」という形でなくオフィスに出勤している人同士が気軽に声を掛け合い、手を振りあったりすることで距離を超えたつながりを生んでいます。
テレワークで人とのつながりが希薄になりがちなコロナ禍に、これまで当たり前だったコミュニケーションがこれほど大事だったのかを気づかされました。アンダーデザインが創業70年以上続けてきた、通信で人と場所をつなぐことの重要性を再認識し、ギャラリーとしても使用でき、かつ通信でつながることができる。第6世代の高速Wifi_6や配信設備を備えた場所とすることがBaBaBaのコンセプトの1つとなりました。

この頃、ヴェネチアビエンナーレ(VBA)日本館チームはCAMPFIREでクラウドファンディングをされていました。当社も少しでも協力させていただければとの思いで支援させていただくことにしました。

そして、新たな偶然のめぐり合わせが重なりVBAキュレーターの門脇さまにもご挨拶させていただく機会をいただきました。
ヴェネチアと日本を通信を使ってつなげないだろうか?当社が温めていた案を打診させていただいたのもこの頃でした。

そして、BaBaBaプロジェクトには新たなメンバーを迎えることになり…

BaBaBa5

【Road to BaBaBa Vol.6】

2020年秋頃にVBAキュレーターの門脇さまにとお会いし、いまだ不透明なもののヴェネチアビエンナーレは2021年5月開幕を予定しているとお伺いしました。

一方、BaBaBaはオープンに向けてスキーマ建築計画さまに設計を進めていただく中で、長坂常さまよりタンクを屋台に改造して場所のアイコンにする、というとても面白い案を出していただき、ワクワクしながら計画を進めていました。
BaBaBa施工は東京オフィスと同じく株式会社TANKさま、タンク屋台の施工は高本設計施工さまにご協力いただきました。

コンテンツも具体案を詰めていく段階になり、アンダーデザイン社員の他に新たなプロジェクトメンバーとしてMountain Morningの今井さま、Dairy Pressの川村さま、ライター/編集の猪飼さま、idoの飯田さまにご参画いただくことになりました。

この強力な布陣とともに本格的にプロジェクトが加速していき、Case Study Studioとしてリアルとオンラインメディアが交差する「裏側を見る/つくる/つなぐ」がコンセプトとなりました。
時間はかかりましたが、創業70年にわたり企業や社会の裏方となる通信インフラ支えてきたアンダーデザインらしさを追求し、かつオンラインメディアという新たな要素を加えることにより、他にはない面白さを生み出したい!という思いが込められています。
そして2021年、年が明ける頃に屋号を「BaBaBa」に正式決定。春のオープンを目指すことになります。

物件を探し始めた2019年1月から既に2年の月日が経過していました。
そして、ヴェネチアビエンナーレの開催にも新たな展開があり…

BaBaBa6


【Road to BaBaBa Vol.7】

2021年、年が明け屋号もBaBaBaと正式に決まり春のオープンに向けての準備が進んでいきました。
工事の進捗とともに設備も続々と搬入され、Wifi-6の速度テストでは下り713Mbps、上り670Mbpsと快適な高速インターネット接続ができる環境が整いました。

そして2021年2月、ヴェネチアビエンナーレ日本館展示キュレーターの門脇さまよりVBAが5月に開幕することが現実的になっていること、本来イタリアに行って作業するはずだった皆様がコロナ禍の影響で渡欧がかなわず、完全オンラインで日本からイタリアの職人に施工指示をする必要があると伺いました。

当社では、もともとヴェネチアのVBA日本館展示を、通信を使って日本につなげないだろうか?とシステム構成も考えていたため、さっそく門脇さま、国際交流基金、イタリアの現地コーディネーターの皆様と、当社のエンジニアを含めオンライン会議をさせていただきました。
そこで衝撃的な事実を知ることとなり…




BaBaBa7

【Road to BaBaBa Vol.8】

日本からオンラインでイタリアに施工指示をすることになったヴェネチアビエンナーレ日本館展示(VBA)チーム。アンダーデザインでは当初から遠隔通信できるシステムの構成を考えていたため、打合せでご説明したところ

「ヴェネチアビエンナーレ日本館には固定回線がありません」という衝撃的な事実が判明しました。

時は2021年2月。3月後半から現地での施工を始めたいとお聞きしたものの固定回線をひく時間の猶予はありませんでした。

安定した通信回線があることを前提に考えていた当初のシステム構成を一旦見直す必要に迫られます。完全オンラインとなったことで想定より長時間の稼働となる可能性があり、常時接続の安定性は確保できるのか、日本側の建築家やTANKさまとイタリアの職人さん同士が手元の作業を見せ合いたい場合はどうするのか、現地コーディネーターの方が簡単に使える構成なのか、わからない時はどうやってサポートするのか、そもそも機器は海外で使えるのか?どうやって送るのか?など…山のように検討することがありました。

期末の忙しい時期に差しかかっていましたが、当社のエンジニアメンバーと連日打合せを重ね、現地コーディネーターの方にも速度調査にご協力をいただきました。システムを提供する会社として、エンジニア集まっての事前レビューや検証を実施するのは当然として、遠隔地イタリアで実際に現地の職人さんが活用するシチュエーションも想像し、マニュアルを作成しました。

そして3月中旬、オールインワンのビデオ会議システムmeet upとスマートグラスを使った遠隔通信システムがいよいよイタリアに渡ります。

一方、BaBaBaプロジェクトは初回展示としてVBAの準備展を企画することになり…

BaBaBa8

【Road to BaBaBa Vol.9】

ヴェネチア⇔日本の遠隔通信システムの検討と同時期の2021年2月ー3月。
BaBaBaプロジェクトは、日々変化する状況に翻弄されつつもメンバーの皆様と最善の策を考えていました。
幾度となく話し合いを重ね、初回展示はVBA展示の高見澤邸が解体されていく様子を収めたヤン・ヴラノブセキさんの写真と、ヴェネチアビエンナーレチームが日本で制作するモックアップを展示する「Dear Takamizawa House」を開催することになりました。
5月に開幕となることがほぼ確実となったVBAの準備も本格的にスタート。
日本から送ったアンダーデザインの通信システムは今ヴェネチアと日本の設計・施工チームを通信で結び現場作業を支えています。
その模様は「Dear Takamizawa House」でも映像展示として流す予定です。また、現在進行形で製作が進んでいる建築家の皆様のモックアップも会期中に増えていき、何度も足を運んでいただける展示になります。
気づけば物件を探し始めてから2年3か月の月日が流れました。
当時は何のノウハウもない通信設備工事会社に可能なことなのか、雲をつかむような話だったと思います。
できると信じ、どうやって実現するかを考え続けたことで奇跡のような出会いがあり、社員も協力してくれ、いつのまにか沢山の仲間ができました。
「裏側を見る/つくる/つなぐ」をコンセプトに
明日2021年4月22日、BaBaBaはオープンします。
コロナ対策を万全に、皆様のお越しをお待ちしています。

◆BaBaBa Exhibition vol.1「Dear Takamizawa House」
会期:2021年4月22日-5月30日 (5月3日除く月曜定休)
会場:BaBaBa 東京都新宿区下落合2-5-15
主催:アンダーデザイン株式会社
協力:第17回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館展示チーム

BaBaBa9


Photo by Takumi Ota